1枚の張り紙チハルとマンツーのシェア暮らしも3週間が過ぎた頃だったと思う。ユカ、アヤが出て行ってから不思議と何も事件がなかった。 まさに平和だった。 しかし、“青天の霹靂”とはあのことだ!! いつも通り、仕事を終えてオレは帰宅した。 「たくちゃん、大変やでぇ~!!」 チハルが叫んでる。 え? またなんかあったの? 多少のことじゃ、もうビビんないよ! チハルは、指をさした。 その方向には掲示板がある。 シェアハウスのオーナーが、シェアメイトとの連絡に使うためにと設置していたものだ。しかし、現状は一度も使われているのを見たことがない。 すっかり存在を忘れていた。 それに貼られている紙に目をやる。 ここのオーナーってオージーなんだけど日本語がけっこう話せる。奥さんは日本人だしね。 この掲示板を見て、驚いた。日本語も書けるのね。 しかも漢字まで。ヘタクソな字だったけど感心しちゃったよ! って言ってられねー!! 内容が問題アリアリだっつーの!! 「チハル、タク、ごめんなさい。ここの家は売れました。2週間後に新しい人がオーナーになります。そして、あなたたちは出て行かなくてはなりません。あなたたちの飛躍をきたいしてます。ありがとう。バイバイ。」 って書いてあった。 かなり一方的! さすがオージー。紙切れ1枚ですましやがった。 ツッコミどころ満載な文章だったが、ツッコム気力もなくなった。 “飛躍”は漢字で書けて“期待”は書けないところはとても気になった。 どうせだったら、奥さんに書いてもらえばよかったのに。 これじゃ、オレの神経を逆撫でするようなもんですよ! かなりムカついた! 飛躍? てめーをどこかに飛ばしてやろうか? そんな想いがあった。 怒っててもしょうがない。 やべー、かなり大急ぎで次のシェアハウスを見つけなくては! というより、これから2週間仕事の休みと金がないのだけど、どうしよう? この2週間オレは大忙しだった。ほとんど記憶がない。 まったく休みがない中で、家を探すのは苦労した。おまけに荷物をまとめたりするのもめんどくさかった。 この先、寝るところが保障されてなく金もあまりないという状況で仕事をしてるのが苦痛だった。仕事どころじゃなかった。 でも、休めない。という二重苦に悩まされていた。 そんな感じでドタバタしながら、この思い出のシェアハウスを出て行った。 チハルともよくケンカをしてたが別れの時には涙を流した。 この先、新たなシェアハウスでとんでもない事件に飲み込まれることも知らずにオレは引越しを終わらせた。 ジャンル別一覧
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